2015年12月23日水曜日

アトリエ大改造①

新アトリエの整備に追われていたらすっかり年の瀬です。
まず取り組んだのが建物内部の元浄水場ポンプ室、
最初こんな感じでポンプや配管で埋め尽くされていました。



ポンプはコンクリートで固定されているし重そうなので後回しにして
まずは配管や地下に埋没されていた弁などを引き上げ撤去しました。



空洞になった地下の溝には砕石を入れて車両が入れるようにし
3つあるポンプを1つずつ撤去をしていきます。



およそ1トンはあろう送水ポンプを基礎コンクリートからはがして撤去。



基礎を削岩機で削り取ってから次のポンプへ進むという地道な作業でした。
そしてすべて撤去し終えるとこんなに広々



作業スペースは確保できました。

この作業の間にお願いしていた電気の新設工事がきました。



敷地が広いので自費負担分の敷地内電線だけでも80m、
電力も大きいため電線が太くてかなり高額でした(涙)
敷地までの電柱についてる線も既存のものでは細すぎて
数百メートル電力会社に張替てもらいました。
そしてようやく灯った光です。



銀座に初めて灯った電灯を見た明治の人達もこんな気持ちだったのでしょうか。

2015年12月15日火曜日

我孫子国際野外美術展

少し前のことになりますが我孫子国際野外美術展に参加しました。



相島の森という大きな古墳をおおう神秘的な森全体に
ストレッチフィルム(荷物梱包用のラップ)をねじって張り巡らせました。



ストレッチフィルムはこのように光を宿します。
森中の木漏れ日を宿らせた糸を編んでいく、
「光織り」というタイトルで空間を再構成しました。



大きな石を起点にしたのはアフリカ・トーゴの古い編み方を模したものです。

この森の雰囲気を作る要素は何か?
木はどのように生えて光はどこにどんな形で差し込んでいるのか?
どんな音が聞こえてどんな匂いがするのか?
普段見落としている要素を見つけてもらって
この森の魅力を再認識してもらえるようと考えながら制作しました。
久しぶりの野外インスタレーションはやはり奥深く、楽しかったです。

2015年11月12日木曜日

アトリエ移転のお知らせ

この度アトリエを茨城県かすみがうら市から千葉県木更津市に移転いたしました。
新アトリエ初公開です。



以前のアトリエが手ぜまになったこともありここ1年ほどずっと探していました。
住居を変えまいとずっとかすみがうら市で探していたのですがなかなかいい場所がなく
そうこうしているうちに沢山の友人知人の勧めと助けにより
木更津市が所有する閉鎖した浄水場を借りることになりました。
市長をはじめ市役所の方々、特に水道部の皆さんのご理解とご協力があって実現しました。

木更津市大寺146 中郷浄水場



この大きなコンクリートの貯水タンクに魅せられて木更津への移住を決めました。
まだまだ手直しが必要ですが今後はこの場所で制作していきます。
敷地も広大なので何かイベントなども開催したいと思っています。
設備が整ったらまた見学等も受け付けますので皆様是非お越しください。

2015年9月27日日曜日

新潟オフィスアートストリート

先日お知らせした新潟オフィスアートストリート設営で4日程新潟にいました。

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駅から万代橋を渡り古町を抜ける道沿いにあるオフィスや店舗のショーウィンドウ内で
25組のアーティストが作品を展示するというコンペです。
テーマは「港町新潟~東アジアへつながるまち~」というものでした。
僕は江戸末期から明治初期くらいの活気あふれる港町新潟を
あくまでも具体的に、親しみやすいような表現で描き込みました。

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クレヨンで非リアルに描いた絵ですが
無数に描いた建物を要所要所切り立ててリアルな空間を出そうと試みました。
思う通りにはいかず反省点も多々ありますがアートに全く興味のない人や
むしろこのイベントに批判的な人もが行き来する生のストリートで
作品の前を通るおよそ2~3秒の瞬間にあれは古い新潟港だと認識してもらう、
そんな具体性を持った作品が一つくらいあってもいいかなと思って作りました。

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昨日行われた審査会の様子です。

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日比野さんにはいろいろと厳しい言葉もいただきました。
賞は取れませんでしたがとてもいい勉強になりました。

制作の合間に古い建物や庭園を見に行ったり
美味い酒と食べ物を堪能したり、本当にいい町だなーと思いました。
今新潟では水と土の芸術祭も開催されています。
このオフィスアートの展示は10月25日までです。
歴史と文化と食とアートの町新潟に是非おでかけ下さい。

2015年8月21日金曜日

展覧会のお知らせ

随分と久しぶりの更新になります。
今後参加する展覧会やアート展のお知らせです。

まず来週8月24日月曜日から銀座8丁目の画廊
ギャラリーせいほうでグループ展に参加します。

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イタリア時代の友人たちを中心にいろいろな国から彫刻家が出品してくれます。
日本、韓国、台湾、イタリア、エストアニア、コロンビアと多彩な顔ぶれです。
大人数のため一人1点ずつと作家としては物足りない感じですが
見る方々は多種多様な素材と形を楽しんでいただけると思います。
来月9月26日からは新潟オフィスアートストリートなるものに参加します。

http://niigata-oas.com/

新潟市の中心地古町のショウウィンドーなどを舞台に町中がアートに染まります。
と言いつつ初参加なので様子は僕もわからないのですが。。。
僕は23日からヤマシタ新潟古町店ANNEXでセッティングしてます。
お近くの方是非遊びに来てください。

その後我孫子で18年も続いている野外アート展、
第18回我孫子国際野外美術展に参加します。

http://abikoe.com/

http://site-aioe.blogspot.jp/2015/02/18.html

10月24日が開会式ですが招待アーティストは10日辺りから滞在して制作に入ります。
おそらく森の中でやぶ蚊と戦いながらの設置になります。
11月8日までの展示です。
是非皆様虫よけスプレーをご持参の上ご来場ください。

展覧会のお知らせ

2か月以上更新していませんでした。
グループ展のお知らせです。

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第25回目となる宮崎国際現代彫刻・空港展に出品いたします。
第20回目以来の参加で5年ぶりに宮崎へもお邪魔する予定です。
この2か月自分を取り囲む状況も自分自身の考えにもいろいろな変化があり、
今後のことなどをしっかりと考える時期だったように感じます。
そんな中出来上がった新作、1点だけですがお近くの方どうぞご高覧ください。

2015年2月23日月曜日

トルコのモニュメント その4

1月20日、いよいよホテル前の設置場所へ作品を運ぶことになりました。
ホテルは古い街の中にあるのでたどり着くまでの道はかなり細いです。

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大きなクレーン付トラックは本当に道幅ギリギリです。
みんなは呑気でしたが僕はもし通れなかったらと気が気でありませんでした。

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何とかホテル前に到着して事前に作ってもらっていたコンクリート基礎に乗せます。
地震が全くない地域だということで心棒は無しで、モルタルで圧着するだけにしました。
作業場に到着した時の原石がおよそ8トン、今この時点で4トン強です。
仕上がり予定も4トン弱はあるので押しても引いても動きません。

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職人さんたちに手伝ってもらって狙った場所へ着地成功。
大きな山場を越えました。

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28日の朝にイスタンブールへ飛ぶ予定なので作業できるのはこれからあと7日間です。
太く残した真ん中をシェイプして又の部分を貫通させて全体を磨いたら終わりです。
ここまでくればあとは時間との勝負と必死に仕事したため今後の写真はありません。
いきなり完成写真です。

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1月26日、なんと1日余して終わりました。
過去にないほど体はボロボロでしたがこの瞬間を味わえば疲れは飛んでいきます。

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上のテラスからの写真、気球が飛び交うこんな美しい景色の中にこのホテルはあります。
原石到着からちょうど1か月、道具集めからのスタートでよくまあ終わったものです。
自分も褒めてあげたいですが本当にいろいろな方達の助けがあって完成しました。
次回はその辺のお話と余った1日だけのカッパドキア観光のことを書こうと思います。

2015年2月22日日曜日

トルコのモニュメント その3

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ホテルの屋上から見たカッパドキアの初日の出です。
綺麗なものを見ると人のために祈りたくなります。
自分のピンチなんて小さなものです。

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丈夫なテントも作ってもらいいよいよ本格始動です。
順調に作業を進めていたのですが数日後、、、大寒波がやってきました。

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雪が強風で舞いテントはあまり意味がないほど石の上に積もります。
明け方には―20度以下まで下がり日中でもずっと氷点下の日が続きました。
寒いのは我慢しますが困ったのはコンプレッサーが凍って空気が出ないのと
防塵マスクの弁が凍って息ができなくなることでした。

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気づけばツララでセイウチのように、貴重な経験です。
そんな僕を見かねた近所のおばちゃんが何かを言いながらセーターをくれました。

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質の良い手編みのセーターでしたが首が細すぎて頭が入りませんでした。。。
でもそんなことは関係ありません、その気持ちが嬉しいんです。
毎日見に来る子供たちがお菓子をくれたり
いろんな人たちがお茶に何度も誘ってくれたり、トルコの人達素敵です。
お借りしていた土地の前にあるハールンさんという方の会社では
毎日の昼食を社員食堂で食べさせてもらっていました。

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自分でトレイを持って注いでもらう、懐かしい給食の要領です。
この暖かい食べ物がつらい作業を支えてくれました。

1週間ほどで寒波も過ぎ去り1月12日に石を立てました。

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ここから運搬に耐えられるギリギリまでこの場所で削り取って
仕上げは設置場所へ運んだ後にします。
当初の帰国予定日は1月17日、分かっていましたが延期確定です。
1月中には帰国しなければならなかったので30日の便に変更してもらいました。
それでも全く終わる保証もなく不安な日々は続きます。

2015年2月18日水曜日

トルコのモニュメント その2

カッパドキアに戻り原石を待つ間に原石の形を想像して5分の1で再現してみました。

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ちなみにこれはカッパドキアの柔らかい凝灰岩です。
シミュレーションを兼ねてそこから模型を作ります。

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乱暴にしすぎて真ん中で折れてしまいました。。。
原石の形状から判断して予定していた形通りにはできそうもありません。
そうかといって石を切って小さくもしたくなかったので
下の部分を少し変えてバランスを取りました。
日本で作ってきた模型と比べてみてください。

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石は足すことができない素材です。
模型に忠実になってサイズを落とすよりも出会ったその石なりにこちらが変化し
時には足りない部分すらも味方に付けて作品を作るべきだと思います。

12月29日、やっと原石が作業場へ届きました。

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が、指示した底出し(底辺を真っ平に切る)をまるでしていません。

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僕の使うハンドツールではこの作業だけでも軽く1日はロスします。
まあ余計なところを切られるよりはずっとマシですが。

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底を平にするだけでこの量の石を取るわけです。
工場の機械で切ればあっという間だったものを、、、
とマスクの中でぶつぶつ言いながらも底出し終了。
気づけば31日、明日は初日の出を見てから仕事しよう。
明日からがスタートだと気持ちを引き締めた大晦日でした。

2015年2月17日火曜日

トルコのモニュメント その1

昨年の12月21日、友人のホテルにモニュメントを作るためにトルコに渡りました。
到着早々雪に見舞われ翌日現場のホテルへは徒歩での参上となりました。

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ホテルがあるのはカッパドキアのウチサルという村で小高い岩山のようなところです。
通常は車で上がれる坂道の上にホテルが、もう完成間近に見えました。

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参考までに晴れた日のウチサル全景です。
作業中ずっとあの岩山に登ってみたいと思いながら見あげていました。

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工事中のホテルを見ながら依頼者2人と打ち合わせ。
そこで初めてホテルの顔とも言うべき正面玄関に作品を作ってほしいと言われました。
僕は1m程の物を中庭か室内へ作るつもりでしたので日程も道具もその程度の準備です。
この玄関に作るなら2.5m以上はないと見栄えがしないし
それを作るということは費用も時間も何倍もかかることを説明しました。
しかし彼らの勇気とホテルへの情熱は曲がることなく、僕も覚悟を決めました。
「やりましょう!!」
近隣の石材業者を回りましたが目当ての原石に出会えず
それならばと450㎞離れたアフヨンという大理石の産地に出向きました。

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片道4時間、シルクロードをひた走り日帰りでの強行軍です。
アフヨン滞在は3時間、普通なら数日かけて石を吟味したいところですが時間がありません。
地元の知人を頼って何とか条件に合う原石を運んできてもらいました。

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ご覧の通り2面しかカットしておらずヒビの確認が困難な原石です。
しかし時間の無さと金額の安さ、石自体の質の良さもありギャンブル的に即決。
もしヒビが出てきてもそれをフォローする方法もあります。
工場に底出しと余分なところのカット、その後の運搬を依頼してアフヨンを後にしました。

ヒビの有無やカット作業を確認せずに帰ることも不安でしたが
それより何より僕自身が予定以上の巨大な石を如何に1か月で彫り終えるのか
車窓の景色を眺めながら実は途方に暮れていました。
帰りの道中彼らの友人が営むドライブインで特別な料理を食べさせてもらいました。

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能天気な僕はその美味しさに「なんとかなるさ」と勇気付けられるのでした。

2015年2月5日木曜日

国際交流展

数日前に無事作品を作り終えトルコより帰国しました。
その旅のご報告の前に一つ展覧会のお知らせです。

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毎年参加させていただいている日韓交流展がきっかけで
この交流展からもお誘いいただき旧作ですが2点出品することになりました。

2月10日~14日(11日は休館)
10時~17時(最終日は15時まで)
10日14時からオープニングセレモニー
東京都新宿区四谷4-4-10
駐日韓国大使館 韓国文化院1階 ギャラリーMI
03-3357-5970

両国の絵画、彫刻作家20名以上が出品します。
皆様どうぞご高覧ください。