2018年4月17日火曜日

石位寺の石仏

仕事柄もともといろんな人と会うのですが
今月は特に沢山の人との出会いや再会があります。
先週などは用事のついでをはるかに超えて
兵庫、滋賀、大阪と久しぶりの人たちと会うために奔走しました。
自分でそうしているのだから自分が求めているんですね。
何を話したのか憶えていないのにしっかり心の栄養をもらいました。

京都での用事を一瞬で済ませ、またまたついでに奈良へ。
今度はずっと見たかった石仏に会いに行きました。

http://www.city.sakurai.lg.jp/kanko/syaji/kashiramoji/agyo/1395284534959.html

写真が撮れなかったので気になる方は検索してください。

桜井市にある小さな小さな石位寺という現在は無住のお寺です。
地元の運転手さんも知らなかったほど知られていませんが
ここにある石造浮彫伝薬師三尊像は日本最古にして最も美しい石仏とも言われています。
1300年経っているとは到底思えません。
用いられている遠近法も年代を考えれば驚異的です。
法衣や唇に施された朱色は後年のものとも言われていますが
はっきりとした調査は行われていないようです。
何より信じられませんがこの石仏は砂岩で出来ているんです。
砂岩というのは雨風にさらされれば数年で表面が荒れて
施した色なんてすぐに消えてしまいます。
保存状態が良かったとかそういう難しい話は置いといて
どれだけこの石仏が大切に守られてきたかということを想像せずにはいられません。
現在の収蔵庫は昭和52年建造のもので普段は扉も開いていません。
市役所の観光課に電話して予約すると近隣の方々が開けてくれます。
僕が行ったときも3名ほどの地元の方々がいてお茶を出してくださいました。
拝見した後「とても大切にされてきた仏様ですね」と僕が言うと
隣に住むという女性がどこか誇らしげに微笑んでおられたのが印象的でした。

1300年の間に収める建物はきっと何度も建て替えられたでしょう。
今この石仏を守る地元の方々のご先祖様もきっと代々同じようにしてきたのでしょう。
物の力で人が動かされ人の力で物が守られる。
作者としては最高に名誉な状況がここにはあると思いました。